ぼくらの

442 : マヤ×カコ

投稿日:2007/07/25(水) 01:07:39 ID:rXTZSDot

操縦したら…死…ぬ?

カコはマーヤの発言を理解できない。いや、理解することをカコの頭脳が拒否している。
自分は、地球を救うヒーロー、になるんじゃなかったのか。何故一回の戦闘で死ななくてはならないのか。
そんなハズはない。自分は生まれ変わった。他人から必要とされる人間になったんだ。

そう信じたいカコは、精一杯の強がりを見せて言った。
「バ…バカバカしい。
 …ていうかアレだろ?ほ、本当にヒーローになる勇気があるかどうか…た、試してんだろ?」
しかし、マーヤは冷たく言い放つ。
「…あなたがどう考えようが自由だけど、ルールは変わらないわ」

(嘘だ…嘘だろ…?
 折角ヒーローになったって、死んだら、何の意味もねぇじゃんかよ…)

視線も虚ろなカコを見て、マーヤは自分の中にある悪趣味な性向が、ぞくり、とした快感を伴いつつ背筋を上ってくるのを感じた。

(これだから、この仕事は、辞められない…)

マーヤは、死に直面した人間の姿を、これまで幾度となく見てきた。
逃れられぬ死を前にした人間が取る言動に、大きな差はない。

まず、[何故死なねばならないのか]と困惑する。そして[何故自分なのか]という怒りを、…

「て、テメェ…マーヤ!!
 それ知ってて俺達を誘いやがったんだな!?」

周囲のモノに、闇雲にぶつける。

カコはマーヤに掴みかかろうとするが、空間から自在に出現する能力を持つ彼女を捕まえることができるはずもなく、カコの腕は虚しく宙を切るばかりだ。

そんな無駄な努力を何度か繰り返す中、不意に、ツインテールにまとめたマーヤの長い髪が、カコの鼻先に触れた。
何とも云えぬ芳香がカコの脳を刺激する。
母や姉以外の女性と体が触れ合う距離まで近付いたことのないカコには
それが単にシャンプーやリンスの類いが異なることに起因するものであることなど、わかるはずもない。

カコはその香りの良さに戸惑い、少しの間、我を失う。
まだ知らぬ女の香りに毒気を抜かれたカコは、振り上げた両手をバツが悪そうに下ろし、俯いた。

マーヤは、そんなカコの動揺が心底可笑しくてたまらない。

(退屈だし、ちょっとこの童貞クンをからかって遊ぼうかしら)

死ぬ前に思い残すことはないかと問われたカコは、暫く考えた後、自室を出ようとした。

「あら、こんな美少女を置いて、どこへ行くのかしら?」

マーヤの顔や体つきは、自らを美少女と呼んでも全く違和感を感じさせない程に整っている。
長い睫の中にある深い瞳。すこし紅をさしたような唇。
容易に他者を寄せ付けない冷徹な表情と、ツインテールに黒のドレスという愛らしいスタイルが、余りにもミスマッチであり、淫靡ですらある。

そんなマーヤに顔を覗き込まれ、どぎまぎするカコ。
視線を逸らすと、スカートの裾から伸びるしなやかな足の、ニーハイの上端から僅かに覗く白い太股が、嫌でも目に入る。

「どこへ行こうが俺の勝手だろ!!」

マーヤは心中で、カコの台詞を正確に訳す。「俺のことが気になるなら、引き留めればいいだろ?」

殊更に強がってみせるのは、構って欲しい気持ちの表れ。
本当に単純で、分かり易い。
子供の癖に変に大人ぶった子より、こういう子が余程可愛いとマーヤは思う。

それは結局、相手に対して絶対的優位に立ち、相手を意のままに支配することで性的な悦びを感じる、マーヤの嗜虐性の表れに過ぎないのかもしれなかった。

「本田さんの所へ行きたいんでしょ?
 やめた方がいいわよ。彼女、あなたのことなんて眼中にないもの」
「テ…テメェに何がわかるんだよ!!」
「あなた達を見てたら、嫌でもわかるわよ」
「……」

自分が本田千鶴…チズに振り向いてもらえないこと位、カコにだってわかる。
それでもチズにちょっかいを掛け続けるのは、その事実を受け入れたくないからだ。

「良いことを教えてあげましょうか?」
「な…何だよ」
「本田さんの秘密」

カコがマーヤを振り返る。目の焦点は合っていない。
「知りたい?
 …後悔するかもしれないわよ?」

マーヤは、チズが担任の畑外という教師と性的な関係を持ち、程なくその教師自身によって性犯罪グループに売られ、性奴隷と化していることを語った。

確かキリエが、「チズは担任の先生のことが好きだ」と言っていたことがある。
カコはそれを認めたがらず、すぐに忘れ去っていた。
けれども。

カコは何度もマーヤの話を「嘘だ」と否定し続けた。
しかし、結局はそれが真実だということを理解せざるを得ず、ついにはその場にへたり込んでしまった。

カコの目の前で、マーヤの短めのスカートがひらひらと揺れる。

「それより、私とイイコトして遊ばない?」

「女を知らずに死ぬのは嫌ですものね…。
 私があなたの望みを叶えてあげるわ。
 …但し、何でも私の言う通りにしてくれたら、ね」

カコはマーヤの誘いにあっさり乗った。
短時間のうちに、自分の死と想い人の陵辱という、極めて重大な事実に直面したのだ。
元々からして小心者のカコの精神は、既に限界に達している。
そうでなくても、マーヤの放つ妖艶な魅力は、同年齢の女子と比較することすら憚られる程だ。
だからカコが、せめて死ぬ前にマーヤと性的な快楽を得たいと欲求するのも、無理からぬことであった。

カコは軽い目眩を感じる。

目を開くと、そこは薄暗い空間だった。
カコは何時の間にか寝台のような物の上に横たわっていた。

ここは…何処だ?

起き上がろうとしたカコは、自分が下着一枚になっていることに気付く。
ギョッとして身じろいだカコだったが、何故か身動きできない。

カコの両手首は、頭の後ろにある寝台のパイプに固く結ばれていた。

つい先刻まで抱いていた劣情は、一瞬で消え失せる。
相手は、死を約束されたゲームに自分達を誘い込んだ張本人なのだ。

肌寒さを感じる気温のはずだが、カコは背中に嫌な汗が流れるのを感じた。

暗闇に目が慣れてくるに従い、部屋の様子がわかってきた。
広さはカコの自宅の居間程度だろうか。
調度品は全くと言っていい程見当たらない、殺風景な部屋。
大きく開かれた窓…といっても窓ガラスははめられておらず、時折吹き込む夜風がカーテンを揺らしている。
本来灯りが備え付けられるはずの天井の中央には、何もぶら下がっていない。
ここが既に使われなくなって久しい部屋であることは、カコにも辛うじてわかった。

寝台の傍ら、月明かりに照らされたマーヤが立っている。

カコは「何だよコレ、話が違うじゃねぇか!!」と抗議の声を上げようとした。
だが、マーヤの鋭い視線に射すくめられ、飲み込んでしまう。
代わりに口から漏れた言葉は、
「ど…どうするつもりだよ…」

カコの怯えた表情を見たマーヤは、サディスティックな笑みを浮かべる。
「怖がらなくてもいいわよ。何も痛い事をしようって訳じゃないから」

そう言って、マーヤは寝台に腰掛ける。

カコの足元に座り込んだマーヤは、カコの方へ脚を投げ出した。
スカートの中が露わになる。
カコはマーヤの足の付け根から目が離せない。

その脚先が、カコの下腹部へと伸び、カコの下着の上からそれを弄び始めた。

マーヤは、黒のニーソックスを穿いたまま、カコのそれを両足で挟み、上下に動かした。

マーヤは寝台に後ろ手を付き、カコの足の間に腰を沈め、両膝をVの字に広げ、カコの下着の上に足先を伸ばしている。

マーヤのスカートの中は完全に露出し、ショーツが月明かりに白く照らし出されているのが見える
それがどうしようもなく淫らで、眩しい。

「うっ…くっ」

「どう?…気持ちイイでしょ」

カコは、羞恥心と甘酸っぱさ、興奮と背徳感が入り混じったような、痺れるような感覚に満たされた。

カコも人並みに成人向け雑誌を読んだこともあるし、チズを肴に妄想に耽ったこともある。
しかし、今行われていることは、そんなカコの想像する性行為からは余りにもかけ離れていた。

「はぁ…あぁ…うっ」

「はぁ…はぁ…
 ふふっ…直接してあげようか?」

マーヤは足の動きを止め、カコのトランクスを下ろし、全裸にした。
カコのそれの先端からは、既に透明な液体が滲み出ており、トランクスに染み付いている。
カコは最早、羞恥心を通り越して快感すら覚える。

カコのそれに、マーヤのソックスが触れた。
温かく、柔らかな繊維質がカコのそれを包み込み、優しく上下する。

マーヤの両脚が上下動を続ける。
時折前後に動かし、再び上下に動かすと、カコはえもいわれぬ快楽で声を上げる。

マーヤは、カコのそれが以外に立派であることに少したじろいでいた。
勿論、小心者の一物は必ず小さくなければならないという決まりなど、どこにもないのだが、マーヤにとってその大きさはやや想定外であったことは確かだ。

ともあれ、マーヤも男子を足下に隷属させているという感覚に快楽を感じている。
体の中央から突き上げるような熱さを感じ、呼吸を乱しながら、この特殊な行為に没頭している。

「はぁ…はぁ…
 もう、…私のお気に入りのソックス、こんなに濡らして…
 いやらしい子ね…」

マーヤは、カコのそれから漏れだした液ですっかり濡れたニーソックスを、おもむろに脱ぎ始めた。
とてもカコと同身長と思えぬ程、長くしなやかな脚が、月明かりに映える。

マーヤは両の素足でカコのそれを掴んだ。
少し冷たく、柔らかな肌の感触が、カコを包み込む。

「あぁッ…
き…キモチいいッ…キモチいいよマーヤ」

マーヤは両足の指で左右からカコのそれをしごき上げ、更には足の拇指と人差指の間に亀頭の根元を挟み込み、締め付けた。

「はぁっ…く…う…」

いつの間に用意したのか、マーヤの手にはチューブ状の物が握られていた。
その口から、透明に輝くゲル状の液体が、マーヤの素足に包まれたカコのそれに注がれる。

「…!!」

一瞬、ヒヤッとした感触に襲われたカコのそれは、熱を奪われ少しだけ柔らかくなった。
だが、滑りの良くなった足で、先刻とは比較にならない速さと激しさで刺激を受け、たちまち硬くなる。

それが所謂ローションと呼ばれるものであることは、カコにもわかった。

マーヤが足を動かす度に、卑猥な空気音が響き上がる。
それがまた、二人の興奮を否が応にも盛り上げていく。
カコのそれは、既に限界まで肥大していた。

カコは元来女子の脚に特別な執着を持つ性癖は有していないし、マーヤとてその道のプロという訳ではむろんない。
だから、足による刺激だけで絶頂に至ることは、通常なら有り得なかっただろう。

しかし、普段は高飛車で近寄りがたい雰囲気を持つマーヤが、例え虐待に近い形であれ、下半身も露わにして、こんなにも淫らな行為で自分に快楽を与えてくれているというシチュエーションそのものが、カコの欲情を著しく刺激していた。

「あぁっ、はぁっ、うっ
マーヤ、俺、もう、イキそうだよ」

カコのそれが一際硬くなる。

「はぁ…はぁ…
 イイわよ…イッても」

余りの快楽により顔を歪めるカコを見下ろして、マーヤの嗜虐性は絶頂に達した。

「うっ、うっ、あ、あっくうっ!!」

カコの先端から、白い液体が勢い良くほとばしった。

マーヤの足に、カコから溢れ出た液体が大量に絡みつく。
マーヤはそれを、ビクビクと痙攣を続けるカコのそれになすりつけるようにして優しく動かした

「はぁ…はぁ…
どう…私の足…気持ちイイ?」
勝ち誇ったように問う、マーヤ。
「あ…うん…」

カコは、後ろ手に縛られたまま、哀願するような顔でマーヤを見る。
「な…なぁ…マーヤ…
次は、その…」

「なぁに?」
見下すような視線をぶつけるマーヤ。

「あの…ほ…本番はまだかなぁ…って…」

マーヤはカコに顔を近付けて言う。
「もう少し、私の言う通りにしてくれたら、ね」

目と鼻の先に、マーヤの美しく上気した顔を見たカコは、このような行為の後だというにも関わらず、顔を真っ赤にしてしまった。



長い間使われていないような、薄暗い部屋。
薄汚れたカーテンが、申し訳なさそうに揺れる。
部屋の中央にある、ゆったりとした寝台。
その上に、カコは全裸で横たわっている。
頭の後ろにあるパイプに両手を縛られ、自由に身動きできない。

カコの股間にあるそれは、自身が放出した液体にまみれており、まだある程度の大きさを保ちつつ時折躍動する。
初めて経験する快楽の余韻に浸るカコの目は虚ろだ。

寝台の傍らに、黒いドレスに身を包んだ美少女が立っている。
非の打ち所のない程整った顔を、満足げに上気させている。
ニーソックスは脱ぎ捨てており、スカートの下から伸びる脚が艶かしく光っている。

カコはつい先刻、その美しい脚にしごかれ大量に射精したことを思い出し、再び下半身に熱い血が集まってくるのを感じる。

「どう?・・・今すぐ2回戦、始める?」

マーヤに問われたカコはどぎまぎする。
つ・・・ついに童貞を捨てるのか・・・俺は?
心臓が口から飛び出そうになるほど、動機が激しくなる。

「え・・・あ・・・う」
どもるカコ。

「・・・ふふっ。とりあえずシャワー浴びてくるわね」

そう言って、マーヤは結局寝台を離れていった。

遠くから水の音が聞こえる。
カコはマーヤの白い肌に水滴がしたたる様子を想像する。
もう暫くすればその肌に触れられるのだと思うと、カコのそれは、まるで先刻の射精がなかったかのように、忽ち膨張する。

しかし、水道もガスも止められていそうなこの部屋で、よくシャワーが浴びれるもんだといぶかしく思うカコだったが、考えてみれば何も無いところから自在にモノを出現させる連中なのだから、それくらい造作もないことなのかもしれない。
それならシャワーを浴びる必要すらないような気もするが、馬鹿らしくなってカコは考えるのをやめた。

一人になると、先程までの事がまるで夢だったかのように思えてくる。
目が覚めたら自分のベッドにいて、またいつものつまらない日常が始まるのではないか。
殆ど唯一と言っていい友人―もっとも、カコ自身は「舎弟」のように見ているが―のキリエこと切江洋介と一緒に、不良共のパシリとして過ごす日々。

そんな毎日から逃れるような参加した自然学校で、カコは生まれて初めて恋に落ちた。
一目惚れだった。
チズ…本田千鶴は確かに可愛かったが、それ以上に何か他の女子達と違うオーラを纏っていた。
カコはそんなチズのことを思い出す。

チズは、自然学校に来ていた他の女子達とも、あまり話すことはなかったようだ。
カコとキリエが初日からずっと一緒にいたから、というのもあるが、何となく女子の輪に入るのを避けるようなふしがあった。
そんなチズの持つ異質な雰囲気が、カコにとっては却って魅力的に映った。

今にして思えば、そんな彼女の異質さは、彼女の置かれた悲惨な境遇によるものだったということがわかる。

見ず知らずの男達に犯されるのは、どんな気分なのだろうか。
ひょっとしたら、寝台に縛り付けられ、身動きも出来ぬまま、なすがままにされていたのかも知れない。
―今の自分の様に。

カコは自分が複数の男達に下半身を弄ばれる様を想起し、嘔吐感に襲われる

いや、自分はマーヤに犯されている訳ではない。
カコは頭を左右に振る。

もう余計な事を考えるのはよそう。
どうせ自分もチズも死ぬ運命なのだ。
マーヤはきっと俺の事が気に入ったんだ。そうに違いない。
カコは自分にそう言い聞かせた。

マーヤがある意味でカコの事を気に入ったのは確かだが、それはカコの想像するものとは大きくかけ離れていた。

この後カコは、そんな自分の考えの甘さを、痛烈に思い知らされる事になる。

カコは自分の耳を疑った。

カコの目の前に、いつの間にかシャワーを浴び終えたマーヤが、再び黒のドレスを身に纏って腰を下ろしている。

「聞こえなかった?
 …私の足を舐めて、綺麗にしなさい」

マーヤは、先刻脱ぎ捨てたニーソックスをわざわざ穿き直し、その足先をカコの眼前に突き出した。
カコ自身から滲み出た液体にまみれたそれは、まだ充分に湿り気を保っている。
カコは思わず顔を背けた。

「…どうしたの?
 何でも言うこと聞いてくれるんでしょう?
 早く舐めてよ」

マーヤは確信犯的な笑みを浮かべている。

―あァ、そうか…。
このときカコは、チズの味わった本当の苦しみが何だったのか、わかったような気がした。
人としての誇りを、踏みにじられた。
それが、チズにとって何よりも辛かったのではないか。

それにも気付かず、チズの気を引こうと躍起になっていただけの自分は、何と愚かだったことか。
自分は、チズのことを何もわかってやれていなかった。

そして今、自らすすんで屈辱的な状況を選び、心を売ってまで快楽を得ようとしている自分の姿が、途方もなく惨めに思えた。

カコは、腹の底から絞り出すようにして、微かな声を出す。
「もう…いい」

カコは、マーヤを拒んだ。
自分の、チズに対する想いを、踏みにじられたくなかった。
それが例え、もう間近に迫った死の、その瞬間まで報われることはないとわかっていても。

カコの精神は、中学に入る頃から、過剰な自意識や劣等感という名の分厚いかさぶたに覆われ、それがカコを自分の事しか見えない少年に変えていた。

しかし、マーヤが過酷で残酷な現実をカコに突き付けたことで、そのかさぶたは剥ぎ取られていき、カコ自身でさえ忘れていたカコの本心が、生々しい痛みと共に剥き出しになった。

元来カコは、人一倍繊細で、優しい少年なのだ。
例えカコと共にいじめられることになっても、キリエがカコの傍に居続けた理由が、マーヤにもわかった。

好きな女の子を泣かせてしまった男の子の気持ちって、こういうものなのだろうか、とマーヤは思う。
こんなことなら、あの時チズの秘密を暴露するのではなかった。
(構ってもらいたかったのは、私の方かもしれない…)

マーヤはカコの両腕の戒めを解いてやった。
カコは俯いたまま、足下に散乱する衣服を身に纏っていく。
そんなカコの様子に、少しの迷いも感じられないことが、マーヤには無性に悔しく、そして切なかった。

マーヤは、寝台から立ち上がろうとしたカコの左腕を掴んだ。

「待ちなさいよ。
 私にあんな事をさせておいて、そのまま帰るつもり?」
『傍にいて』という言葉が、素直に出てこない。

マーヤがカコの太股に手を置くと、カコは驚いて身じろぎする
この様な場面で、男のどこに手を触れれば心を開かせることができるかを、マーヤはわきまえている。

「男の子ならちゃんと、責任取ってよ」

カコはマーヤを振り返る。
少し拗ねたように、視線を逸らすマーヤ。
その余りのいじらしさに、カコはマーヤを抱き締めてしまった。

カコは、自分が何をしたかったのか、もうよく分からない。
姉に蔑まれた事。
不良に使い走りをさせられた事。
自然学校の事。
そして、チズの事。
それらが全て頭の中で渦を巻き、撹拌され、意味を失っていく。

カコは、寝台に横たわるマーヤのドレスに手を掛けた。
新雪のように白い肌が露わになっていく。
漆黒のドレスには不釣り合いの白いブラが、まだ成長を始めたばかりの乳房を覆っていた。
そして、裾の広がったスカートを捲り上げる。

マーヤは毅然とした態度を保ちつつも、恥ずかしさを隠せない。

「…カコ君も、脱いでよ」

下着姿にニーソックスのマーヤが、やや恥じらいだ様子で寝台に横たわっている。

カコはマーヤのブラを外そうとするが、お約束の様にホックが外れず、四苦八苦する。
クスリと笑ったマーヤは、背中に手を伸ばし、カコの代わりにホックを外してやった。

乳房が露わになるや否や、カコはそれを手で掴んだ。
「…!」
年齢相応に膨らんだ乳房は、まだそれが成長途上にあることを示すような張りを持っている。

カコはマーヤの胸に顔を埋め、唇を這わせていく。
そして、乳房の先端にある桃色の突起物を唇で挟んだ。
「あ…!」
マーヤは恥じらいとも悦びとも取れる声を上げた。
カコはマーヤの乳首の周囲をなぞる様に舐め、吸い付く。

左右の乳首を交互に吸い尽くしたカコは、マーヤの太股の間に手を伸ばす。
そして、白のショーツの下に手を差し入れた。
まだ完全に生え揃わない陰毛の感触。
その先にある谷間は熱く、濡れている。
初めて触るそれは、以外にも柔らかかった。
カコの心臓は、破裂せんばかりに激しく脈打っている。

マーヤの手がカコの下半身に伸びる。
マーヤは手探りでカコのトランクスの隙間に手を入れ、膨張するカコ自身をしっかりと握った。
「っ…!!」
既にじっとりと濡れている体の中心をカコに弄られたマーヤは、屈辱感と羞恥心に苛まれる。
不思議と嫌な気持ちはしない。
むしろ、それが益々マーヤを高揚させ、体の中心を熱くしていく。
マーヤの極端な嗜虐性は、実のところ被虐性の裏返しであるのかもしれなかった。

マーヤの秘所を触るカコは、その谷間が熱い液体を流しながら徐々に開いていくのを感じ取った。
カコはそこに中指を滑り込ませる。
「あッ…」
マーヤは堪らず声を上げそうになるが、強靭な自尊心でそれを呑み込んだ。
そして、その快楽に抗う様に上体を起こし、カコのそれを握り締める。
「うっ…く…!!」

カコとマーヤは、まるで競い合うかの様に互いの下半身を愛撫した。
カコの指がマーヤに快感を与えれば、マーヤの手の動きは激しさを増し、それによって快感を得たカコの指は更にマーヤの中を刺激する。

先に絶頂に達したのはカコの方だった。
「はぁッ…あッ…うッ!!」
丁度カコの横から屈み込む様な態勢で寄りかかっていたマーヤの顔に向けて、白濁した液体が勢い良く放出された。

「…!!」
粘度の高い液体が、汗と共に顔面を伝っていく。

こんな屈辱的なことでさえ、今のマーヤには悦びに感じられた

「あっ…ゴ…ゴメン」
「ふふっ…またイっちゃったね」
マーヤはその白磁のような顔をカコの精液にまみれさせながら、微笑む。
「次は…ちゃんと、ここに御願い」
マーヤは寝台に横たわり、両膝を立てる。

カコはショーツに手を掛けた。
マーヤは少し腰を浮かせて、脱がせ易くしてやる。
下着も取り払われ、ニーソックスだけを身に着けたマーヤの姿は、あまりにも不自然で、卑猥であった。

カコは、マーヤの脚を左右に分け、マーヤの上に覆い被さった。
マーヤがカコのそれを掴み、自らの秘所にあてがう。
「ここよ…」

しかし、いざ挿入しようとすると、カコのそれは熱を失い、柔らかく折れ曲がってしまう。
「あ、れ…」
それは、二回の射精の後だからか。
セックスに対する恐怖感からか。
それとも…。

マーヤは起き上がり、力無く萎むカコのそれを掴んだ。
そして―

「うっ…マ…マーヤ…!?」
マーヤは、カコのそれに口付けし、口に含ませた。

「ん…んん…んぐっ」
マーヤの舌の上で転がされたカコのそれは、忽ちのうちに膨張していった。

「ほら、大きくなったわよ」
マーヤの笑顔が、カコの胸に迫る。

十分な硬さを得たそれは、マーヤの体の中心に挿入されていった。

「あっ…待って…ああッ!?」
カコは自分自身をマーヤの谷間に触れさせるや否や、マーヤが制止するのも聞かず一気に最奥部まで挿入した。
カコはそのまま激しく前後運動を繰り返す。
「あッ、…はぁッ…、お…大っきいよ…カコ君…」
カコがマーヤを突き上げる度、痛みと快楽の波がマーヤの意識を押し流していく。
白い肌を朱に染めて身悶えるマーヤは、普段の気丈な姿からは想像もできない程に、女の子だった。

そんなマーヤの姿を見て、カコは男としての尊厳を満たされる思いがする。
今まで、ここまでカコの事を受け入れ、必要としてくれる人間は居なかった。
チズには何もしてやれない自分だが、マーヤには悦びを与える事が出来る。
自分を求めてくれるマーヤの為に、残り少ない命を費やしても、惜しくはない。

「はぁッ、はぁッ、マ、マーヤ」
「ん、んんッ、な、なあに、カコ君」
「お、俺、マーヤの事、好きになって、いいかな」

「あ、はぁッ、カ、カコ君、
ズ、ズルいよ、こんな事、してる時に…」

「お、俺、マーヤだけの、ヒーローに、なりたいよ…」

マーヤは、カコを抱き寄せ、唇を合わせた。
それは、目に浮かんだ多量の涙を、カコに悟られたくなかったからかもしれない。

 ××× 

「功〜!!」
微睡みの中、遠くから声が聞こえる。
今日は土曜日で休みの筈だ。
カコは少し唸って寝返りを打つ。

階段を登ってくる足音。
(煩いなあ、もう少し寝かせてくれよ…)
カコの部屋のドアが勢い良く開いたかと思うと、カコの毛布は一瞬で剥ぎ取られた。

「功、早く起きなさいッ!」
目の前に、黒髪をツインテールにまとめた少女が立っている。
カコの家の隣に住む幼馴染み、槇島摩耶子―マーヤだ。
「な、何だよ朝早くから」
「もう、今日は本田さん達とタイガーカップランドに行く日でしょ!」

そうだ―忘れてた。
自然学校で知り合った本田千鶴―チズ。
楽しみにしていた家族旅行が父親の仕事の都合で中止となってしまったため、予め手に入れていた遊園地のチケットを活用すべく、チズはカコ達に声を掛けたのだった。

「全く世話が焼けるわねー。
下で待ってるから、早く着替えなさいよ」
慌てて飛び起きるカコ。

『初恋の先生が、事もあろうに私のお姉ちゃんの彼氏だったのよ!
ショックだと思わない?』
そんな話を、屈託の無い笑顔で話していた。
あの明るいチズに、もう一度会える。
自然とカコの顔は緩んだ。

一階に降りてきたマーヤに、カコの姉が声を掛ける。
「御免ねマーヤちゃん、功がいつも迷惑掛けて。
今度ちゃんとあの馬鹿に言い聞かせとくから」
「そんな、全然気にしてませんから」
マーヤはにっこりと微笑んで返す。
「それに、ああ見えて功君にも、いい所ありますから」
カコの姉は溜め息をつき、苦笑した。

玄関を飛び出したカコの眼前に、不安気な面持ちをした太めの少年が一人。
「な…何でキリエが居るんだよ!」
「ぼ、僕も、誘われたんだよ…」
「本田さんは切江君と私を誘ったのよ?むしろあんたがおまけよ」
「なっ…」
「ふ、二人とも、急がないと、電車に乗れないよ…」
「そうね。走るわよ、バカオ、じゃなかった功」
「…!」
カチンと来たが、渋々走り出すカコだった。

 ××× 

カコは夢を見ている。
この地球とは別の、どこかの平行世界にある、ありふれた風景の中で、4人の少年少女が少しずつ大人になっていく、そんな物語を。

カコの頬を一滴の涙が伝っていく。
マーヤは、それを口唇で優しく拭ってやるのだった。
窓の外の空は、既に白み始めている。

レス :
($date)
"; $fp = fopen ($logfile , "w") or die($logfile."が開けません"); fputs ($fp, $message); for($i = 0; $i < $logmax; $i++) fputs($fp, $lines[$i]); fclose ($fp); echo $message; } for($i = 0; $i <= $max; $i++) echo $lines[$i]; ?>

ログを表示
 php配布元:レッツPHP