ぼくらの

628 : キリエチズ

投稿日:2007/08/14(火) 22:18:46 ID:U6CYPs2Y

「なあ、一緒に自然学校行こうぜ」

またカコがチズを誘っている。
「…興味ないから」
そっけなく答えて教室を出ようとするチズに、珍しくカコが食い下がる。
「なんでだよ〜〜〜 絶対楽しいぜ! チズも誰か女子誘えばいいじゃん、おい! てめえも行くだろ?」
急に振られてキリエはどもった。
「あっ う、うん」
「んだよ! はっきりしねー奴だなあ〜〜〜 お前だってチズの水着見てーって言ってただろが」
「ぼっ ぼくは そんなこと言ってない… あっ」
チズが呆れた表情で、さっさと教室を出ていってしまう。
「……おめーのせいだ! ばかっ」
カコに小突かれて、キリエは少しよろめいた。
「あ〜〜あ しょうがねーなあ っとにノロマでよお」
ぶつぶつ文句を言いながら、カコも教室を出て行ってしまう。

キリエは極端に内向的な性格で、クラスにも友達は少ない。
カコはその少ない友達の1人で、端からみればカコがキリエを良いように虐めてるだけに見えたが、
カコはキリエに対してまったく遠慮がないところが、キリエにとっても一緒にいて疲れない相手だった。

キリエがゆっくりと教室を出たとき、先に帰ったはずのチズが目に入った。
チズは真っ青な顔でカバンを床に落とすと、覚束ない足取りで女子トイレに入って行く。
その尋常じゃない様子に、キリエは思わず立ち止まった。
トイレの中から物吐く音と苦しそうなチズの呻き声が聞こえてくる。
驚いたキリエは、チズの後を追ってトイレに駆け込んだ。

「チ、チズ、どうしたの?」
「…キリエくん、ここ女子トイレ」
「あっ ご、ごめん、でも、チズが…」
「…大丈夫よ、ちょっと気持ちが悪かっただけだから」

気持ちが悪いと言ったチズがしきりに手で撫でているのは、お腹だった。

「…お腹 どうしたの?」
キリエが何気なく言った一言に、チズの表情が固まる。
「…どうして?」
「だって、お腹を押さえてるから…」

チズが表情を硬くし、怯んだような目でキリエを見ている。
そしてぎこちない動作で(キリエから見たらわざとらしい動作で)手を胸に持っていくと
「別に、何でもないわよ」
と笑ってみせた。

それだけの記号で、キリエにはある考えが浮かんでしまったのだ。

「もっ もしかして、チズ、妊娠…」

今度こそチズはその場に凍り付いた。胸の上で組んだ手だけが、小刻みに震えている。
「う あっ そのっ」
そのチズの様子にキリエも固まってしまった。

重たい沈黙の中、チズが青ざめた顔で、睨むようなキツイ視線でキリエを刺している。

「あのっ チ、チズ、ぼっぼく、誰にも言わな……」
「ホントにっ!?」

キリエが話し終わるのを遮り、チズがキリエに掴みかかる。
「うわっ!」
「誰にも言わないでっ! 人に知られたら! この子がっ きっと降ろせって言われっ… わたしっ…」

チズは堰を切ったよに捲くし立てると、キリエの腕を強く掴んだまま、声を押し殺して泣き出してしまった。
さっきまでの落ち着いた態度とは別人のようなチズの姿に、キリエは狼狽えて立ち尽くすばかりだ。

キリエはチズの様子が変わったことに気が付いていた。
他の女子とは少し違う雰囲気を持っていて、いつも明るい笑顔の魅力的な女の子だったのに
ほんの数カ月前から、笑わなくなった。
カコの軽口にも笑顔で応戦していたチズが、冷たい対応をするようになったのもその頃で
何か、チズを変えるような出来事があったのだとは思っていたけれど、それがまさか
チズの妊娠だなんて。キリエは言い様の無い怒りと悲しみで暗い気持ちになった。

2人は連れ立って校舎を出る。
「キリエくん、家に寄ってよ。わたしの事、ちゃんと話すから…」
さっきまで泣いていたチズが、目の端を赤くしながらも気丈に微笑んでみせる。

(チズは、誰にも言えない秘密で苦しんでたんだ…)
その姿がキリエの従兄弟と重なり、キリエの胸を締め付けた。

『誰にも、私の気持ちなんか…』
閉じこもった部屋の中で、従兄弟はよくそんなことを言った。

傷を負って心を閉ざしてしまったキリエの従兄弟と、
負った傷についてこれからキリエに打ち明けるというチズ。

他人の心の傷なんて、そんな簡単にどうにかしてあげられない事を良く知っているキリエだったが
知ってしまった以上、どうにかしてあげたいと思うのもキリエだった。

(ぼくに出来るだけの事を、チズにしてあげなくちゃいけない)
キリエはチズの身の上にあった事実と、まっすぐに向き合う覚悟を決めた。


「ここよ、お姉ちゃんも遅くまで帰らないから、遠慮しないで」
「う、うん」
チズの部屋は女の子らしい色彩のインテリアで飾られ、学校で知っているチズよりも幼い印象がした。
どこに座ったらいいかも分からず、キリエは所在なげにうろうろとチズの部屋に視線を彷徨わせる。
ジュースを持って部屋に戻ってきたチズに促され、キリエはやっと床に腰を降ろした

「緊張してる?」
「す、すこし…」
そのキリエの様子にチズが笑った。
キリエは冷たいジュースをちょっとづつ口にふくみながら、チズが話し出すのを待つ。

「……始めは、好きで、先生は特別だと思ってたの」
キリエがジュースを半分くらい飲んだ頃、チズは独り言のように、先生との事を話しはじめた。

秘密のデートを重ねたこと。突然男達に売られたこと。
知らぬ間に撮られていたムービーで脅迫されたこと。先生を殺して自分も死のうと思ったこと。
ナイフを買ったこと。妊娠を知って犯行を思い留まったこと。
出産ムービーという形で子供すら玩具にする人だと知ったこと。


そして、チズがその子供を産む決意をしてること。


「どっ どうして、そんな奴の子供なんかをっ…!」
震えるキリエの声にチズはきっぱりと答えた。
「この子は、先生じゃない」

「で、でも あいつの血が…」
「キリエくん、この子に罪はないの それにわたし、わたしの中に宿ったこの子を、愛してるの」
「わ、わからないよ」
「キリエくん、女の子とエッチしたこと、ある?」
「え?」
「誰かと愛しあって身体を重ねるのって、とっても神聖で気持ちがいいの、やらしい意味じゃなくて」

(な、なにを言い出すんだよ…)
キリエは赤くなって俯いてしまった。
チズの真剣な目が、キリエをジッと見つめているのを感じる。

「心と身体が通じあった時にこの子ができたのよ 上手く説明できないけど… 私なんかに宿っちゃって、可哀想だと思うけど…」

(あんな酷い目にあったのに、チズは先生と幸せだった時の気持ちも忘れてないんだ…)
キリエはチズの言ってることが分かったよな、分かりたくないような複雑な気持ちになったが
それでもチズがずっと秘密にしていた事をキリエに打ち明けて、少し楽になったであろうことは、
チズの雰囲気で分かった。


「学校も止めて、この子のために働くの」
「え…?」
「みんな反対すると思うけど、お姉ちゃんなら力になってくれるかな…」

無理だ、とキリエは思った。まだ中学生だ。義務教育も終わってないのに。
もしもチズの家族が説得に折れて出産を許したとしても、世間がそんな事をゆるすはずがない。
父親は誰だと聞かれたら? 事実を話せば先生はムービーを流出させるだろう。
そしたらチズの家族も今まで通りの生活なんて出来なくなる。
社会がそんなに優しくないことを、キリエは従兄弟を通して知っている。


それを話そうかとキリエが逡巡している時
気丈な口ぶりとは裏腹に、
とても寂しそうな表情で、自分のお腹を優しく撫でている、頼りなげなチズの姿が目に入った。


「ぼ、ぼくも力になろうか」
キリエの口からは、思っていた事とまったく真逆の言葉が出ていた。

「ぼくも、学校が終わったら、チズの赤ちゃんのために バイトするよ…」
「えっ…?」
「そ、それに、お父さんが必要だったら ぼ、ぼくなんかでも、良かったら 一緒に病院へ行ったり…とか」
「キリエくん…」

チズの決意がどんなに困難なことかは頭では分かっていたけれど
キリエの本能と感性が、一瞬のうちにチズを助けることを選んでいたのだ。

「そんな迷惑かけられない! 先生がキリエくんにも酷いことするかもしれないよ」
「大丈夫だよ」
何の根拠もなかったが、キリエの言葉は力強かった。
「チズに酷いことする奴らを、ぼくが、そのナイフで やっつけてあげる、から…」

チズの頬に涙がつたわった。
さっき学校で見せた辛そうな涙ではなく、暖かい涙だった。
この数カ月、自分の捲いた種で出来てしまった誰にも言えない大きな敵に
一方的に蹂躙され深く傷付いていたチズにとって、キリエは始めて出来た味方だったのだ。

「わたしの妊娠に気が付いたのが、キリエくんで良かった」

自分が女の子にそんな事をするなんて、今この時でも信じられなかったが、
キリエは静かに泣くチズの肩を両腕で包んで、精一杯優しく抱き締めた。

「キリエくんに、話せて良かった…」

チズは泣き顔を上げると、キリエの口にそっとキスをした。
キリエにとって始めての女の子とのキスだったけど、それはとても自然で優しい行為に感じられた。

キリエの腕の中で、チズが自分のブラウスのボタンを外していく。
「チ、チズ いいの…?」
「うん だって、この子のお父さんになってくれるんでしょ?」

チズがブラウスを脱ぎ捨てる。
キリエは目の前に現われたチズのピンクのブラと柔らかい肌に、固まってしまった。
「キリエくん、ブラ、外して」
チズがキリエの腕を掴んで自分の背中に導く。
キリエはチズの甘い匂いに包まれて頭が痺れたような感覚になる。
震える手でチズの背中のホックを探るが、なかなか上手くいかない。
背中をキリエに預けてる間にチズは器用にスカートを脱いで、ブラとお揃いのパンツを晒した。
そして密着したキリエの身体に柔らかく抱きついて、またキスをする。
やっとブラのホックを外して息を付いたキリエの手を掴んで、チズは自分の胸を触らせる。
「や、やわらかい…」
始めて触る女の子の胸に、キリエの手は震えが止まらない。

「キリエくんの体も、やわらかくて気持ち良い」

チズがキリエの上に倒れ込むよにして、キリエを押し倒す。
緊張で真っ赤になってるキリエは、天井を向いたまま硬直してしまう。
そんなキリエを笑うこともなく、チズがキリエのシャツのボタンを外していく。
そしてズボンに手をかけるとチズが驚いたような声を出した。
「…キリエくんの、すごいね」
「うっああっ!」
キリエはすっとんきょんな声を出すと、股間を両手で押さえて横向きに転がってしまった。
恥ずかしさと緊張で、キリエはどうしたらよいのか分からず、軽くパニックになっていた。
チズにも聞こえそうな激しい胸の動悸も、恥ずかしくてどうしたら良いのか分からない。

「恥ずかしがらなくていいよ キリエくん わたしとちゃんとやろうよ…」

そう言うチズこそ、恥ずかしいような困ったような顔で、キリエに微笑みかけている。

(そ、そうだ、さっきからチズにまかせきりで、ぼくもしっかりしなくちゃ…)

キリエは必死に奮起すると、これも自分でも信じられないような勇気を出して
よろめきながらも立ち上がり、勢い良くズボンとパンツを脱いだ。
そして驚いた顔のチズを抱き上げて、ベットにストンと降ろす。

「チ、チズ、ぼく 始めてだから…」
震える声のキリエに、チズは優しく微笑んだ。

「ふふっ、いいの 大切なのは愛しあうことだもの 緊張しないで、キリエくんの好きにして」
チズが下から腕を伸ばして、キリエの頬を優しく撫でる。
キリエはチズへの愛しさを込めて、チズの華奢な身体を思いきり抱き締めた。
そして首筋に顔を埋めて、肩から胸にかけてキスをする。
柔らかい胸を口にして、桃色の乳首を吸うとチズが甘い声をあげた。

「ああ…んっ」
(ここ、気持ちいいんだ)
「…ああっ!」

キリエはチズの声をたよりに、チズの身体に舌を這わせた。
チズの呼吸もキリエの呼吸も荒くなる。
舌の愛撫を下半身に移動させて行き、チズの下着に顔を埋めると、股間が濡れてるのが分かった。

「チズ、濡れてるよ」
「やあっ…! 言わないでっ」
キリエはチズの下着をゆっくりと脱がした。
「あんっ…」
チズの指がシーツを固く掴む。始めて見る女の子のソコは、柔らかくてえっちな臭いがする。
キリエは震える指で、チズのそこをなぞってみる。

「やあっ…んっ!」

チズがびくっと身をよじって、悲鳴のような声をあげた。
(すごい、感じてるんだ…)
キリエは何度もそこを指で愛撫した。指にチズの愛液がたくさん絡みついてくる。

「ああんっ! もう だめえっ…」
チズの甘い声と臭いにキリエの下半身ももう限界だった。
「チ、チズ、もう 入れていい?」
「あんっ いいよっ…  いれてっ…!」
キリエはチズの白い足を割って腰を進めると、チズを気づかう余裕もなく、自分のモノを一気に挿した。

「あああっ…!!」
チズの身体が思いきりのけぞる。

「チズっ すごいっ 気持ち良いよっ!!」
キリエが想像してたよりもそこは熱くて、自分のモノが溶けそうに気持ちが良かった。
「…どうしよっ もう、でちゃうっ!」
「いいよ…、思いきり出してっ」

キリエはあっという間に、チズの中に射精してしまった。

「…はあっはあっ チズ…ごめん 痛くなかった?」
チズは息を整えながら、キリエの身体の下で微笑んでいる。
「…大丈夫 良かったよ…」

2人はそのまま優しく抱き合って、目を閉じた。


チズはこれから沢山の敵と戦わなきゃならない。
ぼくが守ってあげるんだ。
ぼくが…


「わたし、自然学校、行こうかな」
「…え?」
「お母さんになるんだもの もう遊んでなんかいられなくなるから 今のうちに…」
「うん…」
「お腹が目立ってくる前に 水着をきて海で泳ぎたいな」
「そうだね、一緒に自然学校、行こうか」

チズはふふっと笑うとベットから飛び下りた。そしてキリエの腕を掴んで
「キリエくん 私の水着を一緒に選んで! シャワー浴びたら買い物しに行こうっ!」

久し振りに見たチズの笑顔だった。
キリエが思わず引き込まれるような、あの明るい笑顔。

ぼくらはきっとお互いを助け合って、補いあって、良い夫婦になれるんじゃないかな。
ぼくたちはまだ子供だけど、きっと上手くいくよ。


それはばくらがジアースに出会う、少し前の話し                了

レス :
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